臀部、ハムストリングスの概要

2021/04/18

臀部単独での障害は、仙腸関節障害や脊髄炎などが臀部痛を発症する。疼痛が運動により軽快し、安静や就寝により増悪するのが特徴である。そのほとんどが、いわゆる腰痛からの関連で、坐骨神経痛や梨状筋症候群、中臀筋や小臀筋、腸腰筋などが関連している。

つまり、臀部は体幹と下肢との交差点、腰部の症状や下肢、特に大腿部の症状に関連した疼痛や筋緊張を起こす。このことから、治療の上でも腰部や大腿の原因による障害の場合、必ず臀部の状態を把握し、評価し治療すべきである。

一方、ハムストリングスは、2関節筋として膝関節の屈曲と股関節の伸展に強力に関与し、特に股関節伸展の作用は想像以上である。ハムストリングスを人為的に麻痺させた研究によって股関節伸展筋肉の30〜50%程度を担っていることがわかっている。

また、ハムストリングスには膝関節の安定性にも関与し、さらに、ハムストリングスは大腿骨に対して、脛骨の前方引き出しの制動の役割を担っている。これは本来、前十字靭帯の役割だが、ハムストリングスも補助的に作用する。

スポーツ障害の患者や、膝関節障害の患者に対してハムストリングスの機能を詳細に評価する必要性がある。